日置櫻

有限会社 山根酒造場

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山根酒造場

日置桜写真館 ~酒ができるまで~

洗米・浸漬
ご飯を炊く前に米を研ぐのと同じように、精白された白米に残っている糠を水で洗い落とします。米を傷つけてはならないので、優しく洗ってすばやく糠を取る。
次に米粒の中心まで水を適度に吸収させる。多すぎても少なすぎてもいけない。米を水に浸した瞬間から米の吸水は始まり、精米歩合が高いほど秒単位での判断を求められる。
彼が片手に持っているのはストップウオッチであり、水切りのタイミングを静かに待っている。
糀室での切り返し
糀菌を付着させた蒸米は、糀米として一箇所にや山積みされる。その後固まった糀米を定期的に手でほぐす作業が切り返しである。室温30℃の糀室はサウナと同じであり、蔵人たちが裸なのはそのためである。 見た目以上に力をよ要し、汗だくとなる。糀室を一歩出ればそこには真冬の寒気が待ち受けるため、健常な体でなければ蔵仕事は難しい。
酒母(もと)造り (速醸もと)
アルコール生成を営む酵母菌を純粋に増殖させる仕込の基礎。水に麹、乳酸、酵母、蒸米の順で投入し、酒質に大きく影響する優良酵母を培養していく。まさに醪の母であり元である。 望む酵母の環づくりのために、人は寝食を忘れる。
蒸し取り
夜も明けきらぬ早朝からの重労働である。甑と呼ばれる巨大な蒸篭によって約一時間かけて米を蒸し、立ち上がる蒸気と格闘しながら放令機に投入する。さながら熱い雪かきといった感じであり、屈強な男でなければ釜屋はつとまらない。 釜場には蒸気とともに甘い米の香りが立ち込める。
糀菌がある程度根付いた糀米は、さらに別の部屋に移され糀蓋と呼ばれる容器に盛られて本格的な製糀段階に入る。「一糀、二もと、三造り」とは日本酒造りの至言であり、糀造りの重要性を説いた言葉である。糀屋は一粒一粒の糀米に語りかけるように一升ずつ蓋に盛り、その姿は幼子を育てる母親を連想させる。蓋糀法は細かい管理を要求されるが、手間暇を惜しまない分、思い描く糀を実現できる。
醪 (もろみ) 発酵
醪の仕込みは一度に行わず、初添(そえ)・仲添(なか)・留添(とめ)の三段階にわたって増量していく。発酵タンクの中で米は麹の酵素で糖化され、糖は酵母によってアルコールに変わる。この二つの働きが同時に行われることを並行複発酵といい、日本酒が醸造酒世界最高のアルコールを発生させる優れたメカニズムである。
微睡む (束の間の休息)
蔵の男は働き者である。夜明け前から夜中まで、造りの最中はぶっ通しで働く。微生物相手の仕事には定時勤務などありえない。午後三時、束の間の休息・・・・。
望郷
大雪の降ったある日、勝手口から外を望む。 景色の向こうに見えるのは、故郷に残す家族の姿なのだろうか。 蔵人は季節雇用の住み込みであり、四ヶ月半だけの住人なのである。